朝日vs読売:編集過程と論調形成


経済学部主催行事として、新聞社での論調がどのように形成されていくか、朝日新聞と読売新聞からそれぞれ論説委員を1名お呼びし、専門ゼミにて講演いただきました。

取材から編集作業から記事になるまで検証し、さらには論調の違いがどのようにして生じるのかを学習することが目的です。具体的には、それぞれの新聞の編集プロセスやチェックシステム、切り口の論調を、“アベノミクス”に対するスタンス(是か非か)を含めて、明らかにすることにありました。

まず、朝日新聞社経済部原真人編集委員に、「アベノミクスとメディア」というテーマで御講演をいただきました。原氏は、否定的な立場で“アベノミクス”を捉え、メディアによって政権への接近度が違っていて主張が異なっているために、メディア自体が分断されていると危惧します。また、金融緩和の出口を占めさない政府と一体となった日銀に対し、物価上昇目標は達成できず成果は見えないまま紙幣を刷り続けることに警鐘を鳴らします。

翌週は、読売新聞社経済部黒川茂樹編集員に、「新聞記事ができるまで~アベノミクスをめぐって~」というテーマでご講演をいただきました。黒川氏は、肯定的な立場で“アベノミクス”を捉え、経済指標の数値は改善していて成果を強調するとともに、長らく続くデフレや少子・高齢化を迎えて国内経済の市場が縮小し、海外では保護主義がするなか課題は多いとし、安倍一強のおごりを戒めるべきとの立場を主張します。また、ネットなどのメディアの台頭とともに、新聞の情報の精度を高める工夫の必要性を訴えます。

“個”の朝日、“組織”の読売といった印象の強かった両紙でしたが、最後のところで、立場は異なるものの、少子・高齢化、人口減少を希望をもって、前向きに捉えた記事づくりは心掛けているという意味では共通点があったといえます。

【By 嶋根政充】


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